毎日寒いですね。春が待ち遠しいです。
春になると、就職などで新しい環境で新生活をスタートさせる方も多いことでしょう。
今回は、就職や転職につきものの※入社時健康診断についてとことん調べて紹介していきます!
最期まで読んでいただけますように!
※労働者側からは「入社時健康診断」、会社(事業者)側からは「雇入時健康診断」と呼ばれています。
コンテンツ
入社時に提出する健康診断書の費用は自腹?それとも会社持ち?
それでは早速、入社時の健康診断について調べていきましょう。
なぜ入社時に健康診断を受けなければならないのか?
そもそも、なぜ入社時に健康診断を受けることが一般的になっているのでしょうか?
平たく言うと、厚生労働省で決められているからです。
厚生労働省が労働の安全衛生についての基準を定めた「労働安全衛生規則」では、
事業者が※常時使用する労働者を雇い入れるときは
健康診断を行うことを義務付けています。(労働安全衛生規則 第43条より)
「常時使用する労働者」との記述は、
労働時間が週30時間以上かつ1年以上の雇用見込みのある労働者の事を指します。
そのため、パートタイマーや契約社員でもこの条件に該当すれば対象になります。
この労働安全衛生規則は、労働基準法と労働安全衛生法から作られたものなので、
「規則」といえども法的拘束力があります。
よって、事業主の方は労働安全衛生規則を守って雇い入れ時に健康診断をする必要があります。
入社時に提出する健康診断書の結果が悪かったら不採用になるのか?
健康診断書が採用選考書類だったりすると、一番気になるのはここですよね。
『健康診断の結果が悪かったら落とされるかもしれない…!』
例外はありますが、通常は健康診断書の結果によって採否に影響はありません。
これも、厚生労働省(当時は労働省)が
『雇入時健康診断は、あくまで雇用後の適正配置や健康管理の材料であり、採用選考の採否に影響することは適切ではない』
との内容の通達を出しています。(平成5年5月10日事務連絡 より)
しかし、健康診断書の内容により業務に支障が出る可能性が高いことがわかる場合には、
例外として採否に影響することがあります。
例えば、業務内容が長時間の肉体労働などの場合、
健康診断書の結果に病的な所見がある労働者を雇うわけにはいかないですよね。
入社時の健康診断では、どのような項目を検査するのか?
以下の内容が労働安全衛生規則で定められています。
健康診断の項目
・問診、診察
・血圧
・計測(身長、体重、腹囲、BMI、肥満度)
・視力
・聴力
・尿検査(糖・蛋白)
・胸部X線撮影
・心電図検査
・血液検査
(赤血球、血色素量、AST(GOT)、ALT(GPT)、γ-GT(γ-GTP)、中性脂肪、
HDLコレステロール、LDLコレステロール、空腹時血糖、ヘモグロビンA1c)
かなり充実の内容ですよね!
この検査項目も、労働安全衛生規則で定められています。
入社時の健康診断の費用はどの程度かかるのか?
充実の入社時の健康診断ですが、相場として健康診断で7,500円程度、
診断書の作成で2,000円程度が相場のようで、合わせて約1万円程度です!
※診断書の作成料は病院により異なります。
価格の高さに驚いたので調べてみると、
健康診断と診断書のセットで税込8,100円の医療機関もあるようです……が、
どちらにしてもかなり高額ですよね。
入社時健康診断の費用は自費か?会社負担か?
さて、本題です。
1万円もかかる入社時健康診断と診断書の作成を雇用主と被雇用者、どちらが負担するべきかですが…
答えは、雇用主が入社時健康診断の費用を負担するべき!
ただし例外もあります。
厚生労働省(当時は労働省)が『雇入時健康診断の費用は当然事業者が負担するべきだ』
という内容の通達を出しています。(昭和47年9月18日基発第602号 より)
ところが、労働安全衛生規則には
『雇用契約をする前の3ヶ月以内に実施した健康診断の健康診断書を提出すれば、入社する際に健康診断を実施しなくても良い』
という例外があるのです。(労働安全衛生規則 第43条より)
つまり、選考書類の中に健康診断書を含むことによって、
雇用主は雇入時健康診断にかかる費用を合法的に払わずに済んでしまいます。
中には雇用後に費用を負担してくれる場合もありますが…ほとんどが被雇用者の自己負担となっています。
しかし、失業中や非正規雇用の労働者にとって、
健康診断の料金はとても軽いとは言えない負担ですよね。
かといって、事業者に雇入時健康診断の料金を支払うようお願いしたり、
健康診断書の提出を拒んだりするのも、被雇用者という立場上、
難しい部分があります。
法律を盾に事業者と戦うということは、あまり現実的ではないですよね。
この際、選考書類に自己負担での健康診断書が含まれる会社には
応募しないという考え方もありだと思います。
もしくは、『健康診断費用を自己負担しても応募したい!』と感じるような憧れの会社であれば、
自己負担することになったとしても後悔はないですよね。
ちなみに、雇用主側でも採用選考書類に健康診断書を加えるかどうかで
悩んでいる担当者は多くいます。
このご時世ですから、雇入時健康診断に1人あたり約1万円の経費をかけることが
厳しいという現状もあります。
しかし、労働者が求人に応募しやすいように
雇入時健康診断の費用を雇用主側で負担することを決めたという担当者の方もいます。
雇用する側にとっても難しい問題なのですね。
さて、そろそろ要点をまとめます!
まとめ
今回は、「入社時に提出する健康診断書の費用は自腹?それとも会社持ち?」というテーマについてとことん調べてみました。
要点は以下の通りです。
メモ
★入社時健康診断を実施することは検査項目を含めて法律で定められている。
★入社時健康診断の結果は選考の採否に影響しない。
(ただし、業務に支障が出る場合は例外)
★入社時健康診断の実施には、健康診断書の作成を含めて約1万円かかる。
★入社時健康診断の費用は法的には会社の負担である。
しかし、例外として採用選考書類に健康診断書が含まれる場合は自己負担になる。
★入社時健康診断の費用を自己負担したくない場合は、採用選考書類に健康診断書が含まれない会社に応募する必要がある。
これで、入社時健康診断の費用負担について悩むことはなくなりそうですね!
この記事を読んでくださった皆さんの中には、
就職活動や転職活動中の方、採用が決まった方、
雇用担当者の方もいらっしゃると思います。
皆さんに素敵な春が訪れますように。
最後までご覧いただき有難うございました。
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今日もあなたにきっと良い事がありますように。