筆者:精神科専門医 岡田夕子
「精神科で診断書をもらったら、認可の保育園に預けられることはわかったけど、どうやったら診断書を書いてもらいやすいの?」「そんなに簡単に診断書なんてもらえないんじゃないの?」そう思っている方が多いのではないかと思います。
今回は、どのように相談すれば育児ノイローゼの診断書をもらいやすいか、早く認可の保育園に預けられるかについて説明しようと思います。
コンテンツ
精神科で育児ノイローゼの診断書を貰える相談の仕方
それでは、早速説明していきましょう。
診断書くれやすい精神科をリサーチする
これは、ちょっとずるい方法に見えるかもしれません。
精神科の初診は、予約制であることがほとんどです。
初診の予約を待つのに、2週間〜1ヶ月かかってしまうことがほとんどです。
それなのに、行っても診断書がもらえなかった、育児ノイローゼ(産後うつ病)の診断をもらえなかった、というのは避けたいですよね。
今は、インターネットで検索したら、そのクリニックの評判が出てくる、ということは簡単に調べられます。
どんな怪しげな情報でも構わないので、「その先生が診断書をくれやすいか」という目線でリサーチしてみましょう。
ちなみに私は、1回目の何もない初診の飛び込みで、1回目に診断書を書くことはありません(汗
でも、患者の希望通りに診断書を書いてくれる病院、というのはまことしやかに存在します。
精神科医の私がこれを教えるのは少しずるい手段を言っているようですが、そうやってリサーチしていく方法がまずあります。
ただし、これではあなたがどれくらいしんどいのかお役所に伝わりにくいので、少し後回しにされてしまう可能性が残ります。
どんどん周りを巻き込んで、味方を増やしてから精神科に行く
次に紹介するのが、関係者を増やしてから精神科を受診する方法です。本当はこちらが一番おすすめです。
育児ノイローゼが産後うつ病という病気であることは以前から説明している通りです。
心の病気というのは、目には見えないけれど、当事者からしたらとっても苦しいものです。
特に、育児は24時間営業です。休み時間はほとんどもらえません。
もらえたとしても、自分の都合ではなくて相手(子ども)の都合で休み時間が決まってしまいますよね。
休みたいときに休めないというのは、とってもストレスなことです。
仕事が原因でうつ病になったのであれば、仕事から離れることで楽になるかもしれません。
でも、育児は離れることができない生活の一部です。
保育園に預けても、12時間は子どもと一緒に過ごさなければいけません。
産後うつ病を抱えながら、12時間は休息できても12時間は育児をしながら、というだけでも、とても大変なことです。
あなたのサポーターを増やしてから精神科に行きましょう。
幸い、精神科の初診というのは2週間〜1ヶ月程度は待たされてしまうものです(この辺りは病院によるので電話での問い合わせをおすすめします)。
この期間を利用して、サポーターを増やしてから精神科に行くことで、よりあなたのつらさも病院の先生にわかるようになりますし、診断書ももらいやすいです。
まずは一番そばにいる家族に、理解してもらいましょう。
ただこれは、頑張りすぎることはありません。理解してくれる人を味方につけておきましょう。
保育園に預ける段階になって理解してくれない人たちの盾になってくれることがあります。
一番味方につけておきたいのは保健所や市役所の保健師さん!
以前、保育園に入れるかどうかを最終的に決めるのはお役所なのだ、と書きました。
あなたのつらさと、別の人のつらさを、どちらがよりつらいのか順番をつけないといけないのがお役所の仕事です。
保育園の定員には限りがあるので、より優先順位の高い方の子どもから保育園に入れるのです。
それであれば、お役所にあなたのつらさを事前にわかっておいてもらうのが一番です。
以前、保健所に相談すれば、保健師さんが自宅に訪問してくれるかもしれませんよ、というのもお伝えさせてもらいました。
それをやっておくことで、保健師さんがあなたのサポーターに加わってくれるのです。
保健所だけではありません。役所には「子育て支援課」「子育て相談課」など、子育てに関わる課があります。
自治体によって名前が違うので、自分の住んでいる地区の役所のHPを見てみてください。
ちなみに大阪府高槻市は「子ども未来部」大阪府茨木市は「子ども育成部」という名前でした。
「子育て」というワードが入っていないこともありますので、子どもに関する部署なのかな、と思ったところに電話してみましょう。
以前もお伝えした通り、保健師さんは自宅に訪問してくれます。
自宅でのあなたの育児の様子、つらさ、全部さらけ出してください。
もしその場所に、あなたを理解してくれる家族や友人など、すでにサポーターになっている人が同席してくれるとさらに良いかもしれません。
保健師さんに精神科への受診を相談すると、受診に同行してくれる可能性もあります。
初めて行く病院で初めて会うお医者さんに話をしないといけない時に、サポーターである保健師さんがいてくれたら心強いですよね。
ちなみに、私は1回目の診察に保健師さんが同行していて「保育園に預ける診断書が欲しい」と保健師さんからも言われた場合には断りません。
私と同じ感覚でいる精神科医は多いのではないかなと思います。
また、こうやってお役所にあなたの育児ノイローゼのつらさを理解しておいてもらうことで、保育園への入所の優先順位が結果的にあがります。
精神科に最初の受信ができてしまえば、保育園に預けられる可能性がぐっと上がるんですね。
診断書をもらったら〜役所に申し込みに行こう〜
保育園の申し込みを取りまとめているのは役所です。
それこそ、あなたが相談した子育てに関わる課が扱っていることが多いです。
診断書をもらったら、役所に必要な書類を問い合わせてみてください。
これは、あなたでなくてあなたの家族が代わりにやってくれても構いません。
所得に関する書類なども必要になりますので、何回か役所に行かないといけなかったり、旦那さんの会社に書類を発行してもらう必要がある可能性もありますね。
必要書類を集めたらあとは申し込みをするだけです。
保育園の入所判定は1ヶ月に1度であることが多いですが、保健師さんに理解してもらっている場合、別途で判定してくれる場合もあります。
まとめ
今回は、精神科で育児ノイローゼの診断書をもらいやすい相談の仕方について説明しました。
ポイント
① 診断書をもらいやすい病院をリサーチしていく
② 事前に保健師さんを味方につけておいて精神科の受診に同行してもらう
上記のような方法があることを説明しました。
診断書をもらったら、あとは必要書類を揃えてお役所に申し込みですね。
急がば回れと申します。
ぜひ、事前に保健所や子育てに関わる部署の保健師さんを味方につけて、精神科の受診に同行してもらってください。
育児ノイローゼの診断書をもらいやすくなることでしょう。
もちろん、保健師さんに相談したら落ち着いたというのであれば、もちろんそれでその先に進む必要はありません。
絶対に保育園に預けないといけないわけではありません。
あなたが少しでも楽に育児に取り組んでいける方法が見つかることを願っています。
最後までご覧いただき有難うございました。
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今日もあなたにきっと良い事がありますように。