筆者:精神科専門医 岡田夕子
育児ノイローゼになってしまって、心療内科に行く決意をしたあなた。
きっと、今の自分の苦しいことを楽にしてくれると、期待していることでしょう。
では実際、心療内科にはどんなことが期待できるでしょうか?心療内科に行った後の治療の流れについて、お伝えしてみようと思います。
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心療内科(精神科)に期待できる育児ノイローゼの治療効果
さて、それでは心療内科に行ったらどういうことが期待できるのか、説明していきたいと思います。
理解できない家族がいる場合、医師の説明によって理解してもらえる可能性があります。
あなたがもし、「授乳をやめたくないから薬は飲みたくない」という選択を下していたとしても、今のあなたの辛い状況を医師が家族に説明してくれます。
育児ノイローゼというのが、「産後うつ病」というれっきとした病気であり、あなたの気合と根性だけでどうにかなる問題ではないことを、家族に伝えてもらいましょう。
「育児とは気合と根性でなんとかするものだ」と思ってしまっていて、あなたを返って苦しめている家族がいる場合、医師がきちんと病気である旨を説明してくれるでしょう。
きちんと説明して理解してもらえれば、手伝ってもらえる家族がいるのにワンオペ育児になってしまっている場合、手伝いを受けられるかもしれません。
また、家族が遠方である場合などワンオペ育児にならざるを得ない状況になっている場合は、援助してもらえる手段を教えてもらえると思います。
心療内科には、看護師しかいない場合もありますが、「精神医療福祉士」という専門職の人がおり、そういった支援をコーディネートするプロがいる場合もあります。
ですので、心療内科に行くと、ワンオペ育児を自分一人でない育児に変えることができるかもしれません。
薬物療法など、プロの治療が受けられます
もし、女医さん希望などがある場合は、受診の際に伝えてください。
一度受診した後に、仕事などの都合なく主治医を変えてもらうことは病院により方針は違いますが、結構面倒なことが多いです。
心療内科(精神科)の先生たちは、心の病気のプロフェッショナルです。
話の聞き方ひとつをとっても、他の科の先生とは少し違います。
きっと今育児ノイローゼで苦しんでいるあなたを安心させてくれるでしょう。
また、あなたが「授乳はもうやめて治療に専念する」と決めた場合、お薬を処方してもらうことができます。
育児ノイローゼは「産後うつ病」とも言えますから、うつ病の薬で治療することになります。
うつ病の治療のための薬は、何種類もありますので、ひとつが合わなかったと言ってもそれだけで絶望することはありません。
新しいものだけでも10種類近く、古いものを含めると20種類程度のうつ病の薬があります。
きっとあなたに合う薬が見つかります。
根気よく病院に通い続ける必要があります。
「病院に行くまででもしんどい・・・」という人は、ぜひ家族と一緒に行ってください。
土曜日の午前中にやっているクリニックはたくさんありますので、旦那さんの休みと都合の合う通院日がきっと見つかるはずです。
そして、「こんなふうに思っていると伝えたらどうしよう」とか「こんなこと言ったら引かれてしまうんじゃないか」と思わずに、自分の気持ちは全て主治医に伝えましょう。
相手はプロです。何を言っても驚くことはありません。引くことなんてもっとありません。
また、医師には「守秘義務」があります。
あなたが一緒に診察室に入ると決めた人でない人には、あなたが話した内容が伝わってしまうことはありません。
安心して、なんでもお話ししてください。
注意!薬の効果が出るには2週間以上かかります
熱冷ましのお薬は、お薬を飲んで寝たら、熱が下がっていますよね。
心療内科(精神科)のお薬は、そういうわけにはいかないのです。
最低限でも2週間程度、薬の効果が現れるのには時間がかかります。
その間は、薬だけでない楽になる方法をとりながら、ゆっくり休んでよくなるのを待ちましょう。
焦りは禁物です。
でも、焦ってしまうのも当たり前です。そういう時は主治医に不安を打ち明けましょう。
もちろん、家族でも構いません。
主治医と、あなたと、旦那さんと、ご両親と、共同戦線を組んで戦うイメージをしてください。
あなた一人で戦う必要はありません。みんなで一緒に戦うのです。
それは薬を飲むのがあなただけであっても、一人ではないのです。
注意!元々の性格は変えられません
もともと几帳面な人、もともとおおらかな人、人にはいろいろな性格があります。
この性格を変えるのには非常に多くの時間がかかります。
また、「性格を変えられる薬はない」のです。
自分の今の性格と付き合いながら、それでも楽になっていく方法を探していきましょう。
心療内科(精神科)と言っても、夢の場所ではありません。
万能薬もありません。
でも、治療を受けることで、「素の自分に戻る」のではなく、「育児ノイローゼになりにくい成長した自分」を作っていきましょう。
そのために、心療内科(精神科)があります。
まとめ
今回は、心療内科(精神科)に行くことによる育児ノイローゼの治療効果について説明しました。
心療内科に行くことで期待できること、期待しにくいことは以下の通りです。
まとめ
① 心の病気のプロに話を聞いてもらえること
② 薬による治療を受けられるが、効果が出るのには少し時間がかかること
③ 元々の性格は変えられないこと
いかがでしたでしょうか?
もし、病院に行ってみようか、どうしようか、と悩んでいる方のお力になれれば幸いです。
最後までご覧いただき有難うございました。
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今日もあなたにきっと良い事がありますように。