筆者:精神科専門医 岡田夕子
慣れない子育てには不安がつきものです。
子どもを産む前の自分と違って、『今の自分って何かおかしい気がする』、『ひょっとしたら私、育児ノイローゼかもしれない・・・』そう思ったことはありませんか?
育児ノイローゼの薬は、以前の記事で説明させていただいた通り、市販されていません。
ではどうすればいいのでしょうか?
せっかくこの記事にたどり着いてくださったあなたには、ぜひ薬を探すよりも専門家に相談して欲しいと考えていますので是非最後までお読みください。
コンテンツ
育児ノイローゼの症状を改善する薬を探すよりも専門医に相談すべき理由
さて、それではぜひ専門家に相談してほしい理由について、書いていきたいと思います。
実は育児ノイローゼは診断名ではない
「育児ノイローゼなんて、誰でもなるものだし、だから自分もなったんだし・・・」とか。
「育児ノイローゼで泣き言をいうなんて、カッコ悪い。みんなちゃんとしてるのに」など、そんなふうに思ってしまってはいませんか?
実は「育児ノイローゼ」という名前は正式な病名ではありません。
育児ノイローゼと言ってしまうから、軽く考えてしまうのです。
軽く考えてしまうから、専門家への相談をためらってしまうのです。
育児ノイローゼは正式には「産後うつ病」という名前を持ったれっきとした病気です。
「育児ノイローゼと産後うつ病の違い」を説明しているサイトをよく見かけますが誤った情報を掲載しているサイトも多くあります。
以前、こちらに載せた「育児ノイローゼチェックリスト」という記事があります。
育児ノイローゼは、診断を受けると「産後うつ病」という病名になります。
妊娠してから、出産しても、授乳をしている間はずっと、女性の身体のバランスは、妊娠・出産・授乳をしていない時期とは違います。
慣れない育児は(2人目3人目で慣れていると思っていたとしても)、ストレスが溜まるものです。
通常の時期とはホルモンのバランスも違います。子どもを育てるのに最適なホルモンバランスになっています。
「ホルモンバランスが乱れ」ているのではありません。
「ホルモンバランスが子供に合わせ」てあるだけなのです。
しかし、特別なホルモンバランスの時期は、通常な時期の自分とはストレスの感じ方も、ストレスに対する反応も、全く違うものです。
だからしんどくなってしまうのです。
もし「育児ノイローゼ」は大したことは無いと思っている方がいたら、「育児ノイローゼ」とは「産後うつ病」なのだ、と考えましょう。
また、以前載せた育児ノイローゼチェックリストは、「エディンバラ産後うつ評価尺度」を元に作成していますので、チェックリストで危険信号の人は「産後うつ病」と診断される可能性も出てきます。
その場合は速やかに専門医に相談しましょう。
育児ノイローゼは病院に行った方が早く治る
育児ノイローゼかもしれない、と思ったら、やはり専門家に相談しましょう。
「診断」ができるのはお医者さんだけなのです。
だから「育児ノイローゼかもしれない」と考えて「診断してほしい」と思ったら、誤った情報を記載しているサイトもありますので、インターネットでチェックリストをあれこれたくさん行う事はおすすめしません。
このサイトに載っている、育児ノイローゼチェックリストのページひとつに絞ってチェックリストをして、そのページを印刷して病院に持っていきましょう。
そして、「これが当てはまっていて、心配なんです」「今すごくしんどい状態なんです」と専門家に相談してください。
保健師さんの相談窓口も、病院に行けば電話番号まで教えてくれるかもしれません。
必要ならお薬の治療をしてくれます。
理解のない家族に対しても、お医者さんから説明してくれたら、わかってもらえる事も有ります。
あまりにひどい育児ノイローゼ(産後うつ病)であれば、お医者さんの診断書で、保育園に入れることも可能です(無理強いはされません)。
昔と違って、ワンオペで育児をする家庭が増えている今、そのような家庭を支えるシステムは実はたくさん用意されています。
しかしあまりそういう情報は普通にしていたら誰も教えてくれないですよね。
そういうことを教える事も、専門家の立派な仕事のひとつなのです。
一人でもんもんと悩むより、少しでも話して楽になろう。
そうはいっても病院は、敷居が高い感じがしませんか?
しかし、大丈夫ですよ。
妊娠・出産・授乳の時期の女性や、心のしんどいを抱える女性に対して、お医者さんたちは慣れています。
今は10人に1人が育児ノイローゼ(産後うつ病)になる時代だと言われています。
苦しんでいるのは、あなただけではないのです。
少し話を聞いてもらうだけで、『楽になるためにいろんな手段があるんだよ』と教えてもらうだけで、楽になるかもしれないと思いませんか?
友達には言いにくいことも、お医者さんには守秘義務もあるし、傷つけるようなことは言いません。
だから安心して相談に行きましょう。
病院は、怖いところではありません。いつだってあなたの味方です。
まとめ
今回は「育児ノイローゼの症状を改善する薬を探すよりも専門医に相談すべき理由」をご紹介しましたがいかがでしたか?
大事なことは、以下の通りです。
まとめ
① 育児ノイローゼを改善する薬は市販されていないこと。
② 育児ノイローゼというのは病名ではないので軽く考えず、産後うつ病という病気であること。
③ 育児ノイローゼを診断してもらうには、病院に行く必要があること。
④ 育児ノイローゼを少しでも楽にするための手段も、病院が教えてくれることがあること。
以上がお伝えしたい内容です。
育児ノイローゼかもしれないと感じたら、ぜひこのチェックリストを行った上で、それを印刷して病院に相談に行きましょう。
最後までご覧いただき有難うございました。
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今日もあなたにきっと良い事がありますように。